2023年1月 2日 (月)

ROMAN 2

(指導者は森の広場で、一人でしばらく考えている)

「一生懸命考えて難しい局面を必死に打開しようと試みる選手たちに、私はただ『だいじょうぶだよ』という言葉しかかけられなかった。暑い日も寒い日も膨大な時間を費やして努力してきたことがわずか数分間のカウントダウンによって終わっていく。

 多くのチームスポーツにおいて、今回のような残酷な瞬間はきっとある。行き過ぎた勝利至上主義を是正するため、小学生段階での選手権大会の見直し議論が各競技団体であるようだ。子どもたちを競技面での実力でチーム分けすることをチームカーストだとして否定的に考える人たちもいる。

 決して大人のエゴであってはならない。しかし、指導者が子どもたちと同じ目線で、夢を追いかけることは悪いことなのだろうか。それぞれの力に応じたチームで練習することがあってもいい。時には、できる子たちがそうでない子たちを引っ張ればいい。トップチームができるのであればクラブの代表チームとしてみんなで応援できたらいい。

 悔し涙を流す仲間がいるという幸せ。一生懸命努力すればするほど、仲間と過ごす楽しいひと時はその何倍もあるのだから。」

 

(「わしは神明台の森の妖精じゃぁ」)

「『残酷な瞬間』かぁ・・・わしはここで7年間見てきたよ。卒業してラグビーを続ける子もいれば、他の競技を始める子もいる。下級生には次の挑戦のチャンスがある。次のステージへの新たな出発の瞬間なんじゃないのかな。もっとプラスに考えればいい。この男にとっても、ここに集まってくる皆さんにとっても、浪漫なんじゃよ、浪漫。フッ、フ、フ。」

(ROMANはフランス語。夢や冒険などへの強いあこがれをもつこと。)

 

2022年12月11日 (日)

ROMAN

(森の広場に指導者はひとりで座っている。他に誰もいないが、誰かと話しているようにも見える。)

「どうしたんだ、浮かぬ顔して?くやしい事でもあったのか?」

「ここまで目標に向かって突っ走ってきたが、子どもたちが満足できるような結果を出すことができなかった。」

「結果にこだわってるのか?」

「結果?・・・、、『子どもたちの夢や挑戦する気持ちを応援したい。全国小学生タグラグビー選手権大会に出場して,日本一のクラブになる夢に向かって子どもたちを支援します。』クラブが掲げているこの目標が自分を動かしている原動力なのだと思う。そのために子どもたち、そのご家族の方々を自分に付き合わせているような申し訳ない気分になることがある。それなのに導いてやれない。」

「結果がすべてなのか?」

「そんなことはない。子どもたちの笑って楽しそうな顔を見ると私も浮き浮きする。日々の仕事は本当に忙しい。自分が選手だった若いころは、週末にラグビーの試合をして体がボロボロになっても、気持ちはリフレッシュされて月曜日から仕事に向かうことができた。それが自分のライフスタイルだった。今は、週末に子どもたちとタグラグビーのことを考えることで日々の仕事の疲れを忘れることができる。身体は疲れていても、心は幸せだ。ラグビーに感謝しているよ。」

「だったら、くよくよすることはない。少し休んだらいい。」

「大会前は結果を出すためにはどうすればよいかということばかり考えて余裕がなかったが、今、大会が終わってひと区切りついて緊張感から解放されると、何にも縛られることなくタグラグビーやクラブのことについて考えることができる。自分の家の用事もほったらかしだったことができるようになる。」

「自分のやっていることにもっと胸を張ればどうだ。」

「でも、子どもたちとつながって目標に向かって努力してきたことが終わったような気になって、何だか落ち着かないんだ。6年生はやがて卒業していく。彼らの悔し涙を見ると、もっとできることがあったのではないかと自分の責任を感じて後悔する気持ちに支配される。」

「お前は、浪漫を追い求めているんだな。また、今度話しを聞かせてもらうことにするよ。」

 

「あれ?私は誰と話していたんだ?」

(つづく)

2021年5月 9日 (日)

お前たちがやるんだぞ

 高学年チームに上がった時から2年間、彼のプレーについてほめたことはなかった。逆に、できていないことに注意を与えるよう接してきた。なぜなら、周りからチラホラされて天狗になってほしくなかったし、上には上のレベルがあることをわかってほしかったからだ。へそ曲がりな私のことを彼はどう思っていただろう…

 2021131日、「最後の山(目標)」の県大会が中止となったが、同日にライバルチームとの交流試合を組んでいた。地味ではあるが、自分の中ではこの日の試合が、この年の6年生の集大成となる試合だと腹をくくった。一試合目はチームでやりたいことが空回りして敗戦。試合後チーム全体に「パスをしてからもう一度パスをもらいに行っているのは〇〇だけじゃないか」と叱咤した。その瞬間、〇〇の視線が一瞬私に向いた。そう、初めて彼のことをほめたのだ。この時の言葉が他のメンバーにも響いたのか、二試合目の最終戦は、タグが付いている限り仲間をフォローするように動き出した我がチームが僅差で勝利するナイスゲームだった。

 思えば格上のチームを攻略し、トップレベルへはい上がってきた2年間だった。スカッと勝てる試合なんてほとんどなかったし、くやしい思いばかりだったに違いない。そんな中、彼はトップチームの責任感を感じながらチームの中心にいた。卒団式でメンバーからもらった寄せ書きに、彼の言葉が朴訥にこう記されている。

 「来シーズンからは、もっと強いチームをつくってください」一緒に闘ってきたからこそわかり合える言葉がある。さすがだ… 核心をつかれたな…

 20215月、初夏の日差しの下で後輩たちがボールを追いかけている。そう、お前たちがやるんだぞ!「レ・ブルー行くぞ!!」

 

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2021年5月 5日 (水)

時代の波と一人ひとりの輝きと

 20204月、練習休止前に自宅で取組むトレーニングノートを配ることができたので、保護者を通じて週末に画像で提出というパターンができていた。でも数週間後には小学校に行けない、週末のタグもできないことで、目標を失って自宅で何もしなくなった生徒がいるという情報を耳にした。私は、ICTはどちらかというと苦手分野であったが、やるしかなかった。オンラインでつなぐミーティングやGoogle Classroomを使って、課題に取組む動画のアップロードで離れていても仲間のがんばりが見えるようにした。この時、中川連合町内会の小泉会長の激励もいただいて本当にありがたかった。そうこうしているうちに6月の再会の時がやってきた。この子たちにとって、今後二度と味わうことがない不思議で奇妙な体験であったに違いない。笑いながら昔話として話せる日が早く来てほしいと思う。

 結局、この代の6年生には全国小学生タグラグビー選手権(サントリーカップ予選)はやってこなかった。年が明けて1月の県大会も中止になった。全国予選という目標を失った6年生たちにこの県大会を「最後の山(目標)」と位置づけ練習を積み重ねてきた。でも悔やんでいても仕方がない。中止になった同じ日にライバルチームとの交流試合を組んで気持ちを切り替えた。私も選手たちもこの年の臨機応変な対応には慣れたものだった。

 5年前。2016年の創部の頃の写真に当時2年生だった数名が写っている。そのうちの一人は6年生の夏の段階ではトップチームとは認めていなかった。しかし、11月から12月にかけて力が伸びてきたなと感じた。コーチが描く戦略を自分の頭の中で考えて消化して実践に移せる力。5年生後半から伸びてくる選手が多いが、この子のように遅咲きだが6年生の最後にタグラグビーという競技の理解に焦点が合う場合もある。戦略とは「ディフェンスで常に前に出る」「相手チームのキャプテンのファーストタグを必ず取る」という簡単なものであるが、彼は私の指示を誰よりも忠実に実行しようとした。そこに指導者と選手の信頼関係があるのだ。

 2019年春、チーム強化のためにまずは生活指導から入ろうと挨拶から教えたときに、当時5年生になりたての彼は挨拶をしないどころかニヤニヤしながら「べつにいいじゃん」と言って捨てた。そこからよくここまでチーム戦略のために忠実に動く選手になったものだな。

 5期生に当たるこの代の6年生は10名。時代の波に翻弄されはしたが、一人ひとりの成長や輝きは見せてもらったぞ。何より仲がいい学年だったな。

 

2021年5月 4日 (火)

キャプテン

 20067月、顧問を務めていた高校のラグビー部に1年生の新入部員が思うように入らなかった。4人いた3年生たちには「お前たちが3年生になったら、人数が充実して強いチームを作るんだぞ」と常々話していた。前年の夏には、現レ・ブルーのTコーチが中学生のときのラグビー部を招待して、小規模だがラグビーフェスティバルも開いていた。しかし、新入生部員は私の思惑通りには入部してこなかった。

 わらにもすがる思いで、校内タグラグビー大会を開いたりもした。結局、この年は他校と合同チームを組んで最後の大会に臨むしかなかった。3年生との約束を守ることができず、困り果てていたとき、何度かキャプテンに相談した。校内タグラグビー大会のこと、、合同チームのこと、、そんな時、キャプテンは「先生のやりたいようにやってください。おれたちはついていきますんで。」と言ってくれた。あの時の、彼の眼を今も鮮明に覚えている。「自分は約束を守れなかったのに…」

  202045日、泉レ・ブルー高学年の新チームがスタートを切っていた。しかし、情勢は緊迫していた。自信はまるでなかったが、「来週も会えるよ。」と練習の最後、別れ際に生徒たちに伝えた。その時のキャプテンの眼は、あの時の高校生のキャプテンの眼と同じだった。自分の脳内でタイムスリップしていた。

 そして、この後、緊急事態宣言。神明台スポーツ施設の閉場。最悪のシナリオに暗転していったが、6年生たちとは気持ちがつながっている気がした。グラウンドに集まれなくてもできることはあるはずだ。できることをやるんだ!うん、うん、、

2020年3月20日 (金)

4期生のみんな!

4期生のみんな!卒業おめでとう!!

大雨の中での全国予選会やコロナショック渦中での卒業式など。

節目でのイレギュラーなことが続いたね。

でも今までで一番多くの練習や遠征があり、

一緒に過ごした時間の長かった6年生でした。

これらの日々を私は決して忘れない。

 

思えば創部1年目、、サントリーカップ予選は全敗だった。

保土ヶ谷ラグビー場で、チームの輪の中で私が話しても誰も私のことを見ていなかったっけ、、

先日、卒業した1,2期生が遊びに来てくれたが、

4月から高1、中3になる彼らはたくましく、懐かしい。

そして、今、、

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次のチームは5年目、、進化途上だ、、

中学校での生活は忙しくなるだろうが、神明台に後輩の面倒を見に来てほしい!

「ラグビー馬鹿」になるのもいいもんだぞ!

 

 

 

2020年3月 8日 (日)

次のステージと新たな挑戦のとき

  - 私は神明台の森の妖精 -

 

ん~っ、むにゃむにゃ

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(なになに、夢かな・・・)

 

遥かでもあり、すぐそこにある未来、、

目的達成のために選手は心身を鍛え、

スタッフは困難に対処しながら戦略を練っているのか・・・

 

やがて、最上級生は次のステージへ巣立つ。

そして、新たな挑戦のときが始まる・・・

 

- 指導者 -

Le rugby permet aux enfants de jouer comme des grands et aux ,adultes de redevenir des enfants.

 

  - 神明台の森の妖精 -  

なんじゃ、このカタカナわぁ~

ん~っ、むにゃむにゃ

 

 

2019年12月31日 (火)

Congratulation !! 2019 Les Bleus !!

それは悔しさなのか?

それとも夢、、?

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4年目の伝統の継承

ぼくらは

わたしたちは

何を追いかけてきたの?

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本気になるってこういうことですか?

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2019年のシーズンは二度と戻ってこない。

でも、次のシーズンで、また、

あなたたちと夢をつかむために走っていたい、、

ありがとう!!

Les Bleus 旋風巻き起こせ !!

 

 

2019年12月19日 (木)

協力という「ちから」


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- 私は神明台の森の妖精 -

夏は、流しソーメン。

冬は、もちつきかぁ~

これは親御さんたちの協力がないとできんじゃろうなぁ。

ビンゴはチームを作って考えながらやらせるんじゃのぉ~

一見、タグラグビーとは関係ないことなんじゃが、

大人たちがチームとなって子どもたちを育てとるわい。

わしも、指導者の気持ちが少し分かってきたんで、

興味深く見させてもらったわい。

 


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2019年11月24日 (日)

このクラブ、、

- 私は神明台の隣の森の妖精 -

(あの時のメモ)

「秋が深まる頃にはおいしいカレーライスができあがる予定です。

そのために、ジャガイモは一口大に切りました。

タマネギの千切りとカレールーやトマトの缶詰を混ぜて煮込みました。

ニンニク、ニンジン、お肉などほどよい大きさに切りました。

ブイヨンやカレールーの手配もできました…」

ふふふ、おいしいカレーライスは選手が作るのね。

私も納得よ。

タグラグビーの攻防も5人の知と技が結晶したときに

それは、一種の「芸術」だと言っているのね。

素敵な表現だわ。

もう一つ。

あのキャッチフレーズも思い出したの。

「『みんながトライできる』から『みんなでトライをとる』へ。

タグラガーは,低学年から高学年になるにつれて、

たくましく成長していきます」

神明台の子どもたちのたくましく成長した姿を見るのが楽しみだわ…

 

- 指導者 -

4月から週末はタグが終わると職場に戻り残務整理をする日がほとんどだった。

 

この日、大会で声が出ない選手を何度も厳しい言葉で叱った。

ミスの多かった試合後に「4点、5点取られたら勝てるはずがない」

と後ろ向きな言葉を浴びせた。

選手たちはつらい練習にも弱音をはくことなくついてきてくれる。

それなのに結果が出ないことは自分の指導がわるいからだと自問する。

試合に負けて下を向いている選手たちを見ているのは本当につらい。

 

そんな重たい気分で誰もいない職員室に戻った。

ただ、そこでもタグのことばかり考えていた。

その時、先に競技場を去った私のことを気遣って

あるコーチが私のスマホに1枚の写真を送ってくれた。

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みんなが笑っている!

「前を向くのはあなただよ!」と神様がささやいたようだった。

気分が急に軽くなった。

 

このクラブ、、すごいぞ!

 

«その過程は、芸術 -アート- だ!!